外出

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1960年代にポップ・アートの作品を制作して以来、ロイ・リキテンスタインは日常的な文化からイメージを拾い集め、しばしば漫画に使われる陰影や濃淡をあらわすための網点を用いた。そして最近は美術史の名作から主題を借りるようになった。《外出》(1978年)の、麦わら帽子に襟の高いシャツという粋な装いの青年は、フェルナン・レジェの1944年の絵画、《3人の音楽家》(ニューヨーク近代美術館蔵》の人物と直接結びついている。左側の金髪の女性は、ピカソが1930年代に用いたようなシュルレアリストの画像を合成したものである。人物たちは機知に富んだ手法で表現されているが、リキテンスタインの構図はよく研究されており構築的である。この作品は、彼の個性的なスタイルを示している。つまり、色彩は鮮やかで、三原色に黒と白を加えただけであり、絵の具は平面的なハード・エッジの手法で塗られ、フオルムは太い黒の線で縁どられている。