観る者に彼らの幸福なひと時を共有させる

 新印象派(科学理論に基づいた点描主義)の創始者であるジョルジュ・スーラ存命中のシニャックの画風の大きな特徴である細かな点描による密度の高い厳格な対象表現は、ブルジョワジーの優雅な朝の情景を見事に捉えており、観る者に彼らの幸福なひと時を共有させる。

 

 また補色的に使用される青い色彩による陰影表現には、スーラの、そしてスーラと共に画家が陶酔した色彩理論の影響を強く感じさせるほか、本作の装飾的な各要素の表現や、やや奇抜的な構図・空間は日本の浮世絵などの空間構成に通じるものがあり、そこからの影響も指摘されている。

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