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その取り組みには大きな差異があることも注視すべき点である

 

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  また速筆的な筆触による効果も手伝って、本作に用いられる色彩そのものも実に幸福的かつ抒情的であり、金銭的余裕は皆無に等しかったものの画家の芸術的充実とその探求がよく示されている。さらに靡く中景の木々を始めとした風という自然現象が静寂感の漂う画面の中に動的な運動性と時の連続性を与えている。

 

  本作のような草原(森林)内で読書する(余暇を楽しむ)婦人の姿は印象派の画家仲間の間ではすでに一般化しつつあったが、例えば、ほぼ同時期に本作と同様の画題を描いたベトル・モリゾの作品『読書(パラソル)』と本作を比較してみると、前者がその瞬間の雰囲気と感情性を捉えることを重要視しているのに対し、本作では色彩による情景全体の心象的描写により強い関心が寄せられているなど、画家によってその取り組みには大きな差異があることも注視すべき点である。