「北朝鮮海賊船」の過激な実態

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北朝鮮海賊船」の実態について朝鮮人民軍出身の脱北者パク・ウォンスン氏(仮名)は次のように語る。

「不法漁業を摘発すれば罰金を課すが、北朝鮮の取締船は、燃料の油や食糧などを強奪する。さらに、中国人漁民を拘束して人質にして、彼らが所属する漁業関連会社から身代金から食糧、油まで要求する無法っぷりだ」

ときには、「中国漁民に凄惨な私刑(リンチ)を加え殺してしまうケースもある」(パク氏)という。こうした「北朝鮮海賊船」の略奪に対して、朝鮮人民軍上層部は黙認する。海賊船が食料をはじめとする物資を手に入れるからだ。

本来、海賊船は朝鮮人民軍陸軍に所属する。平安南道(ピョンアンナムド)地域に駐留する「第3軍団」と黄海南道(ファンヘナムド)地域に駐留する「第4軍団」に所属しているとのことだ。各艇隊(連隊級)ごとに、12隻の取締船を保有しているが、「第3軍団」のみ24隻を保有している。日本海よりも範囲が狭く、とりわけ中国漁船が頻繁に出入りする西海に多く配置されている。

北朝鮮海賊船は、広範囲で活動する朝鮮人民軍海軍所属の「高速艇」と違い、近海に限定される。複数のエンジンが設置された高速艇と違って、海賊船のエンジンは1台で機動力が落ちるからだ。搭乗する船員は約10~12人程度。

搭乗する兵士たちは、個人火器(ハンドガンやアサルトライフルなど)を所持するが、「他国の民間漁船も敵船と見なすことから船自体も武器で重武装をしている」とパク氏は語った。

海賊船といえば、人気漫画「ONE PIECE(ワンピース)」やジョニー・デップ主演の人気映画シリーズ「パイレーツ・オブ・カリビアン」などから「愛と冒険とロマン」というイメージを思い浮かべるかもしれない。

しかし、ソマリアの海賊同様、北朝鮮の「リアル海賊船」も海の上の「略奪集団」に過ぎない。