中国がMERSの治療用抗体を開発

2012年9月から2015年5月25日にかけて、世界24カ国で確認されたMERSの患者数は1139人に達し、うち431人が死亡した。患者の圧倒的多数が、中東地域に居住または渡航歴のある人だった。MERSは新型コロナウイルスによるウイルス性呼吸器疾患で、2012年にサウジアラビアで初めて発見された。世界保健機関(WHO)は2013年5月、この新型コロナウイルスをMERSと命名した。

中国科学院北京生命科学院の施一(シー・イー)副研究員は、「中国科学院の高福(ガオ・フー)院士が率いる研究チームは2013年からMERS抗体の研究を開始し、同年中にMERSウイルスが宿主の細胞に侵入するメカニズムを明らかにした」と述べた。研究結果によって、ウイルス表面のスパイク(S)タンパクが、受容体結合ドメイン(receptor-binding domain:RBD)を通じ人の受容体CD26に結合し、宿主の細胞に侵入することが明らかになった。

高院士が率いる研究チームのメンバーである施氏は、「研究チームが開発した抗体はラットの実験で初歩的な成果を獲得しているが、依然として実験室の段階にあり、今後さらに臨床実験に入る。MERSはインフルエンザほど伝染性が強くなく、くしゃみによって感染することもない。これまでの例を見ると、感染者は長期的にウイルスと接触していた。例えば中国で初めて確認された韓国人患者は、病院で感染が確認された父を看病していた」と説明した。