1880年から翌年にかけて制作された作品である

 清潔で上品なイレーヌ・カーン・ダンヴェール嬢の顔立ち。本作は(当時としては数少ない)ルノワールの理解者であり庇護者でもあった裕福な銀行家ルイ・カーン・ダンヴェールの三人の女の子供の内、末娘である≪イレーヌ・カーン・ダンヴェール嬢≫の肖像として1880年から翌年にかけて制作された作品である。

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 綿密に細部まで画家特有の筆触によって描写される少女の赤毛の頭髪。本作の中でも注目すべき点は少女の長く伸びた赤毛の頭髪にある。印象主義的技法(筆触分割)に捉われない画家の個性を感じさせる流形的な筆触によって髪の毛一本一本が輝きを帯びているかのように繊細に表現されている。

飼い主が交通事故に

   離島・澎湖で黒い小犬が交通事故に遭った飼い主の帰りを壊れたスクーターの前で待ち続けてもう1週間になったという。その忠誠心あふれる姿に人々から関心が寄せられている。

 

   澎湖県政府警察局馬公分局交通分隊の徐守秦隊長によれば、先月31日、馬公市の十字路でスクーターと乗用車が衝突する事故が発生。スクーターを運転していた女性は足にけがを負い、病院に運ばれた。女性はスクーターに小犬を乗せて走っていたとみられている。事故が起きた際、小犬は驚いて逃げてしまったのか現場に姿はなかったが、警察が事故現場の調査を終えると、戻ってきたという。

 

   事故で壊れたスクーターはビニール袋などの荷物がかけられたまま事故現場に取り残されており、小犬は炎天下にもかかわらず、スクーターの前で飼い主の帰りを待ち続けている。小犬を心配した近隣住民がドッグフードなどの餌を与えているという。徐隊長は飼い主か家族に早く迎えに行くよう呼び掛けた。

エプト川のポプラ並木

   印象派最大の巨匠のひとりクロード・モネを代表する連作群『ポプラ並木』より『エプト川のポプラ並木、白と黄の効果』。本作に描かれるのはセーヌ川の支流であるエプト川岸に植えられた≪ポプラ並木≫で、目覚ましい成功を収めた連作『積みわら』に続き制作された本連作群には、モネの画業の意欲的で野心的な展開が顕著に示されている。本連作群は1891年の夏頃から翌年までの間に集中的に制作されており、その作品数は20点を超えている。

 

   本作に描かれる≪ポプラの木≫は1789年に起こったフランス革命や1848年に同国で起こった二月革命(不満を持った労働者階級による改革集会が政府によって強制的に解散させられた為に起こった大規模なデモやストライキ)の時に「自由の木」の象徴とされたため、同国の復興の象徴として本作品群が制作されたと解釈する説も唱えられている。

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本作の他に同様の構図で画題を描いた作品が2点確認されている

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    また歌手が纏う白地で縁に黒の毛のついた舞台衣装の軽やかで動きを感じさせる表現と、(日本の版画などに影響されたと考えられる)単純でありながら豊かで装飾的な色彩と、さらに歌手の半身にかかる(舞台袖の)深い黒色による背後の重厚な表現との、≪歌手≫との対照性を示しながら、画面全体では独特で洗練された統一感を感じさせる色彩と写真的な構図の構成感覚は見事の一言である。ある意味では実験的とも捉えられる、このような斬新で近代的な表現手法は、印象派の中でも他の画家らとは一線を画すエドガー・ドガであるからこそ成し得た表現とも言える。なお本作の他に同様の構図で画題を描いた作品が2点確認されている。


    歌手に当てられる人工的な光の効果的な描写。本作に描かれるのは、印象派の画家らを始め、写真家、文筆家、思想家など才能に溢れた様々な若い文化人が日々集い、互いに議論と交遊を重ねた、当時、最先端の流行発信場であったパリのカフェやレストランで歌う≪歌手≫と歌手の立つ舞台である。

スタバの「ユニコーンフラペチーノ」、盗作で訴えられる

あまりの人気にバリスタが悲鳴を上げていると話題の、米スターバックスコーヒーの「ユニコーンフラペチーノ」。“インスタ映え”する鮮やかなピンクとブルーの飲み物はSNSで爆発的に広まり、提供されていない日本でも発売を希望する声が多く聞こえてくる。しかし、この快進撃に、あるカフェが「待った」をかけた。

 

ニューヨーク・ブルックリンにあるカフェ「The End」は、ユニコーンフラペチーノが自社の商品「ユニコーンラテ」の模倣品であると主張。顧客を混乱させ、元祖であるユニコーンラテの陰を薄くしているとして民事訴訟に打って出たのだ。

 

今年1月からのThe Endの利益の内、25%を昨年12月に発売したユニコーンラテの売り上げが占めているという。同店はスターバックスコーヒーが自社の看板商品の意匠を盗作したことで不当に得た利益の返還と、損害賠償を求めている。

 

ここで問題の飲み物を比べてみよう。ユニコーンフラペチーノはマンゴーシロップ入りのクリームフラペチーノをベースに、ピンクのパウダーと酸味のある青いシロップを混ぜ込んでヴィヴィッドな紫色に。その上にホイップクリームをたっぷりと絞り、仕上げにピンクとブルーのパウダーが振りかけられている。

 

一方ユニコーンラテの成分は生のカシューナッツや、コールドプレスされたショウガとレモンの果汁など。スチームミルクがピンクとブルーのパウダーで着色され、星形の小さな砂糖菓子が散りばめられている。

 

スターバックスの代理人は、「ユニコーンフラペチーノは、楽しくて勇ましい、カラフルなユニコーンにインスパイアされたもので、これは今、ソーシャルメディアで流行中のテーマです」とコメント。ユニコーンをテーマとしたフードやドリンクがトレンドとなっている今、その流れに乗っただけであり、特定の商品を模倣したわけではないと主張している。

その取り組みには大きな差異があることも注視すべき点である

 

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  また速筆的な筆触による効果も手伝って、本作に用いられる色彩そのものも実に幸福的かつ抒情的であり、金銭的余裕は皆無に等しかったものの画家の芸術的充実とその探求がよく示されている。さらに靡く中景の木々を始めとした風という自然現象が静寂感の漂う画面の中に動的な運動性と時の連続性を与えている。

 

  本作のような草原(森林)内で読書する(余暇を楽しむ)婦人の姿は印象派の画家仲間の間ではすでに一般化しつつあったが、例えば、ほぼ同時期に本作と同様の画題を描いたベトル・モリゾの作品『読書(パラソル)』と本作を比較してみると、前者がその瞬間の雰囲気と感情性を捉えることを重要視しているのに対し、本作では色彩による情景全体の心象的描写により強い関心が寄せられているなど、画家によってその取り組みには大きな差異があることも注視すべき点である。

『水浴(Le bain)』の名で1863年のサロンに出典された作品である

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  パリ郊外のセーヌ河畔で昼食をとる紳士と裸の婦人。 本作は神話的主題を、そして古典的名画をマネが当時、民衆の間で流行していたセーヌ河畔で過ごす休暇風景に準って現代化し、『水浴(Le bain)』の名で1863年のサロンに出典された作品である。

 

  本作はルネサンス三大巨匠のひとりラファエロが残したデッサンに基づいて後世の画家マルカントーニオ・ライモンディが制作した銅版画『パリスの審判(拡大図)』や、ルーヴル美術館が所蔵する巨匠ティツィアーノ(原筆はジョルジョーネ)の代表作『田園の奏楽』に(構図的)着想や典拠を得て制作されている。